エピソード
辞書の編纂で有名な金田一京助。だけれど…
金田一の名を広く一般家庭にまで広めたのが『明解国語辞典』(三省堂書店、1943年) だが、「金田一京助 編」と表紙に書かれたこの辞書に金田一本人はほとんど関与していない。同辞書は当時まだ東京帝国大学大学院に在学中の見坊豪紀がほぼ独力で編纂したものである。
しかし院生の名で辞書を出すわけにもゆかず、三省堂に見坊を紹介してくれた金田一の名を借りることにした。
他にも金田一京助監修の辞書は多数あるが、ただ名義を貸しているだけで、制作に関わっていない。フィールドワークの先駆者で、国内線の飛行機も新幹線もない時代に北海道と東京を行ったり来たりして多忙だった金田一にはゆっくり辞書を手掛ける時間などなかった。
京助の長男でやはり言語学者の金田一春彦によると、「金田一京助 編」と銘打った辞書は多いが、「お人好しゆえ出版社に頼み込まれると嫌といえず、あちこちに名前を貸しただけ」のことで、実際には辞書は一冊も手がけていないという。
ちなみに、二〇〇九年三月現在、金田一京助が著者に入っている国語辞典は十一冊ある。
(インターネット書店 amazon.co.jp調べ)
